メビウスin明大2

メビウス講演後半です。

浦沢直樹氏)
自前のメビウス本やスターログバックナンバー、
メビウスがイラストを手掛けたジミヘンのCDなどを紹介。

高校生になった頃、それまでの国内マンガに魅力を感じなくなり
音楽に熱中するようになった頃、メビウス作に出会った衝撃、
自分がうまくなった理想型がこの人の絵だ!
この人は「俺」じゃないか?!(笑)
しかし、この人とは違う脳を持ってるから自分は違うものが描ける!

メビウスの絵には「なんとなく引いた線」がない

この絵のこの線はここに存在しないといけない!というくらい
すべての線を描く前から司っているイメージ
微妙に震えてる線すらコントロールしたい

よくある「マンガの書き方」の実例のような
顔に十字線を引いた作画の手順なんて楽しくないんだ!

メビウスの作画を実演を見て)これからは下描き禁止!

アシスタントを使う大量生産のもどかしさ
自分の理想と異なる出来なら、トレースでもイイと指示してしまう

(夏目さん)
有機的な陰影で古典的な車も新しいものとして見せる魅力は
宮崎駿鳥山明などに引き継がれた

・日本における影響
70年末の時代に突き刺さった表現(カウンターカルチャー
一冊の本の中にイラストだけで語れる魅力、
当時の青年誌の熱気の中で紹介された、

大友克洋「フラワー」(SF宝石)あたりから影響が見られ
絵本「ヘンゼルとグレーテル」でBDへのオマージュ

谷口ジロー ブルーベリーからの影響、後に共著の執筆

小池桂一 コマは音楽、構成のおもしろさはリズム、ハーモニー

・吉田あけみ 大友経由で描線の軽さなどに影響

メビウスの描線に含まれる自由さ、開放感、豊かさは
「絵の思想」である・・言語化は難しいが無限の可能性がある

メビウスから見た日本マンガ)
1982年に手塚先生の招きで初来日
当時、手塚作品は子供向きの簡単なものと思ってたが見間違えていた
その質、量・・
やさしい目で近付いてきた(実は・・な展開がなかったかと一瞬期待 笑)
スタジオ見学した際に見た「火の鳥」16ミリのアニメにショックを受けた

日本のマンガ専門店にはたくさんの作品が、
やわらかい白黒の表現、トーンの使用に驚いた

大友の作品の機械の表現に驚き、帰国後、マンガを広めることに勤めた
大友の作品に自身の影響は認めざるをえないが、あくまで彼の表現となっている

作画実演では、
1コマ 言い争いをする男二人
2コマ そんな二人が空中でダンス(笑)

近年は「インサイド メビウス」という、過去のキャラと作者が会話する作品が出版、
日本では10年前くらいに出版された作品集「B砂漠の40日間」の日本語版が
飛鳥新社より今月末出版
会場ではムック本「ユーロマンガ vol.1」が無料配布という太っ腹!

そして終演前には会場前列で講演を聞いてた永井豪、谷口ゴロー、荒木飛呂彦各先生方が立ち上がってあいさつ!
荒木先生「僕は大友先生たちが影響を受けてると聞いて存在を知った孫弟子のような存在。線で空間を表現された手品師のような存在です!」

メビウス氏「作家はひとりきりで制作作業に取り組むが、今日
はこのような場をありがとう!」

素敵な講演を開催くださった主催者の方々、
そしてメビウス氏、3時間半もどうもありがとうございました!!