映画「大日本人」(バレ注意)

ついに公開日を迎え、見てきました。
自分は作品としては面白かったのはもちろんですが、
万人受けするテレビ的な笑いの部分よりも、
苦労の報われない主人公にシンパシーを感じ、
チャップリン作品のような「喜劇」として楽しんだように思います。

主人公は先祖代々、ウルトラマンみたく獣と闘う事を生業とする
家系に生まれたものの、全盛期は過ぎ、近年では世間から疎まれる
存在として肩身の狭い思いで生きている。
自分の娘を後継者にしようと主張すれば嫁は実家に帰ってしまい、
全盛期の社会のヒーローだった祖父は現在、老人ホームに入り
介護が必要な身となっている。
そんな中、近隣の諸外国からもとても手に負えない強剛な獣が現れ・・
というシンプルなようで深いストーリー。
笑いの中にも悲哀のあるドキュメンタリータッチだったり
格闘シーンは笑えるCGだったりで、飽きない2時間だった。

これまで自分が読んだマンガでこの作品に近いものを挙げると
藤子F作品「左江内氏」、石川球太「巨人獣」・・あたり?
(他にもあったら情報乞う!)

過去の「ビジュアルバム」シリーズなどでも見れた板尾など
お馴染みのメンバーとのやり取りもさる事ながら、
無名のおっさん、どことなく昭和な風景、
祖父の代のヒーローグッズなどは実際に販売してたら欲しいと思った。

また、今回注目したいのは、ラジオ「放送室」でも本人が語ってた
松ちゃん自身の祖父・・刺青をした過去の謎が多い人物と
主人公の祖父(4代目大日本人)がどこか重なる点ではないかと思う。
松本人志個人の亡き祖父への思いがこの映画の隠れたテーマかも?

別居した妻の本音を知り、一人落ち込んで歩く孤独なシーンの後、
容赦なくやってくる使命のシーンは、松ちゃんがお笑いの道に
入ったばかりの頃、失恋しても尚、テレビ出演のため笑いを
生み出さねばならなくなった体験がオーバーラップしてたように
感じた。

まだまだ見れば見る程「お笑い」以外の面でも観賞ポイントのある
作品なのではないかと思った。個人的にはラストは高須・倉本案が見たかった!
今回、たくさんの雑誌インタビューが出たけど「オフィシャルガイド」は
読みごたえあり!この本を買えば劇場パンフは不要っす。