スタジオゼロの歌謡アニメ

杉並アニメミュージアムの「スタジオ・ゼロ制作の幻のアニメなのだ」
大地丙太郎氏(アニメーション監督)と鈴木伸一館長のトーク
行ってきました。

おじゃる丸」などを手書けてる大地丙太郎(あきたろう)さんは
バリバリの赤塚ファンという事でイベント冒頭の30分は
自分と赤塚作品の出会い〜アニメ業界に入るまでの経緯を。
84年劇場アニメ「パーマン」の撮影助手を手掛けた事もあったようで
鈴木さんとは長い関連があったようです。

子供の頃、近所のゴミ収集場にあった「おそ松くん」掲載の
サンデー増刊号が出会いで、トンチを題材にした作品の
チビ太扮する坊主が庭で野球してる6つ子に向かって
「28(庭)で89(野球)だな」とか話す回が可笑しかったのだそうです。
以後、曙版のコミック全巻を現在まで大事に所有してるのだとか。

数ある赤塚作品では「まかせて長太」も好きだそうですが、
「おそ松」への思い入れは特別で
「スモッグ一家」「イヤミは風の中」「チビ太の金庫破り」
「オメガのジョーを消せ」などのエピソードを細かに再現し
思い入れたっぷりに「ひとつの画面にアイデアが凝縮されてる」と
語っておられました。

そして待ってましたの歌謡アニメ!
今日は赤塚キャラの登場する2本が上映になりました。
いずれも鈴木館長演出だとか。
世良直美「いいじゃないの幸せならば
和田アキ子「その時私に何が起こったの」

洋画のコロンビアの女神やMGMのライオンが登場するクレジット
タイトル部分にヒゲ面のオッサンやダヨ〜ンのおじさんが
扮してて、のっけからいかにもデタラメという雰囲気!

「いいじゃないの〜」は近年、夏木マリさんがカバーしたりして
とってもカッコイイ歌謡曲!という認識でしたが、
アンニュイな曲の開始早々登場するのは、なぜか車を運転する
しわくちゃのおじいさん医者(笑)
その後、ニャロメや寝たきりのお年寄りが登場して不幸な目にあったり
しても、曲のサビ部分で「♪いいじゃないの今が良けりゃ〜」となり
久しぶりに声を出して笑ってしまいました。

「その時私に〜」は、和田アッコのデビュー間もない若い声に
合わせてバカボンパパがにこやかに走って登場
(両作品とものっけから持って行かれます 笑)
銭湯に着いたものの、「本日はお休み」の看板が。
しかたなく引き返すと突然雷が鳴り出し、ピカっと光るたびに
バカボンパパの体が瞬間的に骸骨姿に見える。
そして店の軒下で雨宿りした所、隣にいる女性たちも次々に
雷に合わせて骸骨姿が見え、最終的に雲の上の雷様がパパの頭上に
落ちてエンド・・という分かったような分からないような
シュールな映像。

キャラのちょっとした動きに特徴が出てて大地氏は、
「最近のキャラクターには失われてるものだ」と話してましたが
鈴木さんは「やってた時は面白かったけど今見るとどうかな・・」と
控えめなコメント(笑)

終了後、「おそ松くん」の「イヤミは風の中」などが収録された
竹書房版の文庫となぜか最近店頭に並んでる500円DVD
モノクロ版「おそ松くん」の21巻(アニメ版「チビ太の金庫破り」収録)を中野と神保町にて購入しました。
(なんと、チャップリンのDVD、再入荷してました!)
アニメ版「金庫破り」は、過去の犯罪に再び手を染めまいとする
チビ太の葛藤する姿がよく描けて、音楽も渋くよくできてました。

これらの作品はチャップリンなどの映画やO・ヘンリーを下敷きにした
作品だと恥ずかしながら今日はじめて知った次第ですが、
確かに手塚先生の「スターバンク」のごとくキャラクターを
俳優に見立てて色んなストーリーを演じさせてます。
以前「幽白」の冨樫さんが作中のキャラクターが
実はストーリーを演じる俳優という設定で、楽屋トーク
作中で語らせようとしたけど担当がNGにしたと
「消えたマンガ家」の本で語ってたように記憶してますが、
こうした野心的な展開は現在では執筆が難しいのでしょうか。

今後、歌謡アニメの販売ソフト化は難しいとしても
著作権はモチロン、中には放送禁止になった作品もあるとか)
他にも作られた当時の藤子、石森、つのだ作品を見る事ができるようになってもらいたいものです。そのためにはミュージアム
上映を呼び掛けたらいいのかなあ。

(参考)「おそ松くん」wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%9D%E6%9D%BE%E3%81%8F%E3%82%93

「WEBアニメスタイル
http://www.style.fm/as/05_column/haraguchi300_18.shtml