映画「エディット・ピアフ」

すでに観賞から一週間経ってしまいましたが
映画「エディット・ピアフ」の感想を。

生い立ちから晩年まで時列を行ったり来たりし、ピアフの事を
全く知らない人にとってはちと分かり辛い構成だったような。
波乱万丈を絵に描いたようで、同じく公開中の映画「ミス・ポター」とは
随分対象的(共通した点もありますが)

ピアフの体型がやけに大柄だったのも違和感を覚えました。
生前の唄う映像を見た限り、自分の中では美空ひばりさんのような
「小さいのにエネルギーの固まり」のようなイメージで、
唄う事によって大きさを醸し出す人物だと思うのです。

映画化されて感謝したい部分は、これまで今一つ分からなかった
実生活の風景が再現されたことでしょう。
僕は88年頃NHK-FMの特集番組で岸田今日子さんの語りで
生い立ちを知ったのですが、幼少期、貧困から「街角で唄ってた」といわれても
実際に映画に出てきたように唄ってただけなのか、
客をとらされてる仕事の隠喩なのか今一つはっきり分かりませんでした。
その点、今回の映画で初めてイメージを掴む事ができたように思います。
貧困に喘ぐ姿と社交界の華やかな社会の対比も大変感じでてました。

デビュー間もない頃の曲が聴けたのも収穫で
初期の曲は陰が強く、そこに大変惹き付けられものが・・
当時の他の歌手の曲も恐らくそんな感じ思われ興味深いです。
高畑勲さんが詳しそう)

また、現在見る事ができる生前の彼女の記録映像の大半が
モノクロである事からかなり昔の人!という印象が強かったのですが、
晩年、1960年代に浜辺で過ぎた日を回想するシーンは、
目まぐるしく生きた時代との変化が表現されており、大変印象的でした。
(初期のビートルズを描いた映画「バックビート」では、
ジョンが「ピアフのばあさん」と時代遅れな存在として
皮肉ったセリフを確か吐いてた)

少なくともこの映画を見た人は「愛の讃歌」以外の姿を知り、
より深く唄を聴く事ができる事でしょう。
「オートバイの男」という曲など現代風にアレンジするとかなり
はまると思うのですが・・