また文芸坐

池袋新文芸坐で開催中の「吉村公三郎の世界」日替わり上映。
仕事明けにダッシュで駆け込んだものの最初の5分くらいは見れず。
本日は原節子主演「誘惑」(1948)、
山口淑子李香蘭)主演「わが生涯のかがやける日」(1948)。

両作品とも新藤兼人脚本で、さりげな〜く新藤作品常連の
殿山泰司氏登場(髪がある・・!)

「誘惑」では、後年の作品「午後の遺言状」とは180度違う役柄の
杉村春子さんの病弱の妻が突然、夫の浮気現場に現れるシーンが
怖かった。

「わが生涯のかがやける日」は戦後の不安定な世の中の風景、
山口淑子さんの艶やかさ、個性派ぞろいの男優陣の演技も光っており
かなり引込まれて見入ってしまった。

驚いた事は、俳優陣の役柄をこなす芸の幅広さ!
宇野重吉氏は晩年の「男はつらいよ」などでは教養高い人格者の役が
目に付いたけど、新藤作品ではどこか頼り無い役が多かった気が。
素朴な味があって好きな俳優です。

滝沢修氏は特撮ヒーローものの悪役かと思う程のバリバリの
メイキャップで暗黒街のボスを演じてたものの、
先日見た作品「安城家の舞踏会」では気弱な家主の役で
180度違う演技を見せていてその幅広い役作りに驚いた。
ネット検索すると田宮二郎版「白い巨塔」の教授など
自分が知る範囲でも味のある演技が思い出され点が線で
つながった気分!?

森雅之氏もニヒルだけど、弱い心を持つ演技が人間味が出てた。
後年の市川崑監督の「おとうと」の父親役などでは「静」の
演技が印象的だったが、今回観た作品ではギラギラした眼光が
印象的だった。
黒澤明監督作にも多数登場されてるようだが記憶が薄れてる。
また見なくては。

劇場ロビーで配布されてるフリーペーパー「東映キネマ旬報
では仁侠映画特集。梅宮たっつぁんやスタジオジブリ
鈴木プロデューサーが当時の作品の思い出をたっぷり語って
おられた。DVD化も随分進んだが、私は江波杏子
「女賭博師」シリーズを全作見たいなあ。