山本二三と絵映舎の仕事展

板橋区立成増アートギャラリーにて27日15時まで開催中の
「山本二三(にぞう)と絵映舎の仕事展」へ。
2年前、高円寺の展示で記帳してたのが幸いしDM届く。

今回は山本二三さんがジブリを退社後、個人事務所だった会社に
知人の伝で知り合った背景画スタッフを集めた会社組織
「絵映舎(カイエイシャ)」としての展示会。
去年の夏、口コミでヒットした劇場作品「時をかける少女」の背景は、
絵映舎として初の全編を担当した大きな仕事だったとか。
現在は、山本二三さん初の監督作品「ミヨリの森」の製作中との事で、
一部展示された民家の風景は、暗い屋内にうっすら光の当たる魅力的な
もので公開されるのが楽しみ。

劇場に使用された背景の原画もたくさん展示されてましたが、
思ったよりサイズは小さく、細かい線で仕上げられていたのが
印象的。最小限のタッチで適格な位置に色がのせられ、
無駄のない筆使いはさすがプロの仕事だと驚きました。

トークイベントでは山本さん他スタッフ3名も登場されたのですが、
20代前半の若い方も「時かけ」で活躍されたそうで驚きました。
「若手の育成」というのが会社の目的でもあり
「仕事ごとに付き合う会社も変える」という方針も
なるべく人脈を作ってあげたいという想いからだそうです。
背景はもちろん、将来的にはもっと幅広い分野で活躍できる事を
視野に入れているようで、3Dの話題も出たり・・

このようなトークイベントの質疑応答で、
かならずといっていいほど「CGについてどう思うか?」といった
話題をふる学生がいますが「結局はその人の観察力」と答えられるのが
パターンのようです・・

2時間にもおよぶトークでは「もののけ姫美術監督だった当時
ラストシーンにリテイクが7回も宮崎監督から出て、
「もう降参します」といったら急に監督がほめだした・・という話や、
制作時の監督の人格は映画の中に封じ込められるもので、
日常は鬼のようだった・・という話で会場を沸せ、
時をかける少女」でも、山本さんとひとまわり違う細田監督から
かなりのリテイクがあったそうで、ポスターのレイアウトも
最初は人物の位置が違ってたようです。

個人的にタメになったのは、
美術の基本は「空風火水地」!
日光の時間は時間帯によって違う補色関係が生まれる、
「監督とは仲間として付き合い、衝突したらおしまい。
不満はプロデューサーに伝える」・・などなど。

会場では画集や複製原画も販売されましたが、やはり原画には
かなわないなあ〜といった印象。

映画は人物と背景のバランスが大事ですが、背景がリアルになる事で
画面全体の存在感が増す、そこにこだわる職人達の作品に
触れる事ができた一日でした。