映画「ロッキー・ザ・ファイナル」

先行上映があると言うので池袋で観てきました。
往年のファン大集結して場内は「ロッキー」コールの大盛り上がりの図・・を想像していたのですが、なんともガラーンな会場。
事前にTELして座席の残りを確認したのですが、
後味の悪かった「5」の印象が強いのでしょうかね?

映画はとても楽しめました!
妻エイドリアンを亡くし息子も自立し、独り身となった哀愁漂う
ロッキーの姿の存在感がイイ。
うら寂びれた冬のフィラデルフィアの街のいなたい雰囲気がまた
タランティーノの「ジャッキーブラウン」のように
孤独さを浮き上がらせていました。
昔、面識のあった女性と恋が芽生えそうなシーンでは一瞬、
スィートソウルもかかった気がします。あれはなんて曲だろう?

今回は、テーマ曲をアレンジしたものが効果的に流れていましたが、
かつてのシリーズ作では当時の先端だったアーティスト曲が流れ
それも作品の魅力でした。
今見ると良くも悪くも時代を感じてしまうのですが
自分が初めてロッキー作品に触れた「4」では、
サバイバーの「アイオブザタイガー」はもちろん、
JBの「リビング・イン・アメリカ」や「トップガン」のケニーロギンス
など・・今聴くとモロ80年代って感じですが、中学の頃
買ってもらったばかりのCDラジカセでよく聴いたもんです(笑)

映画の後半は、前半のリアリティあふれる描写とはうってかわって
まるで夢物語を観てるようなファイティングシーンになっていきます。
どう観ても現役を離れた高齢者が、バリバリの若いファイターと
勝負するのは無理があると思うのですが、シリーズ最終作という事で
華を添えたかったのでしょうか。
闘ってる途中のラウンドもCGによるグラフィックな画面処理や
カメラを乱して、被写体をはっきり見せない見せ方が
ちょっとつらかった・・
もう少し年令の近い、因縁ある相手を敵に持ってきた方が
リアリティも出てきて「老いと向き合う」テーマにも意義が深まる
気もしたんですがね。

また、再会した女性の息子の世話を見るという下りも
途中からその息子の存在が薄くなってしまい勿体無かった気がします。
ロッキーの息子と会話するシーンを入れてみたりするだけでも印象が
違ってくるように思うし、「その後」の晩年のロッキーを
想像させる為にも、彼の存在をハッキリさせた方が良かったと思います。

今回でシリーズも見納めとの事ですが、ロッキーの
枯れた晩年を描いた人間ドラマも個人的には観てみたいです。
長年の歴史によって魅力ある傍役がいるだけに勿体無い!