金森達作品集出版記念イベント

神楽坂のイベントスペースにて開催された
金森達SF作品集出版記念イベントへ。
http://www.laputa.ne.jp/kanamori.html
発行元のラピュータは平田弘史先生や、武部本一郎さんなど挿絵系の
画集を出版しています。
自分は世代的に金森さんの作品をこれまで存じ上げなかったのですが、
神保町の書店にて今回出版された作品集にカバーがない状態のものを
立ち読みし、その流れるようなタッチ、構図や色彩の魅力に惹かれ、
ネット検索してこのイベントを知ったのでした。

トークイベントと思ったので最前列を陣取ったのですが、
(この手のイベントではトークの流れで図版を会場に
差し向けたりする事が多いのでなるべく前で見る事にしています)
先生の挨拶後、割と早めにサイン会に。

サインをもらってる方々を眺めていると、年齢層40〜50代の人が
学生時代「SFマガジン」や「スタートレック」など小説の挿絵で
親しんだ事を切々と先生に語りかけておられ、
知識のないこちらまでなんだか和やかな気分に。
中盤以降は場の空気も和らぎ、サインとともに宇宙船や動物、中には
「廃虚」といったお題でイラストを頼む人が現れておりました(笑)
挿絵作家の場合でもマンガやアニメのように、登場するマシンなどが
読者の心に残る仕事ってあるんですねえ。

そして会場のテーブルに並べられた原画の小さいこと!
ほとんど書籍とあまり違いがありませんでした。
激しい筆跡のタッチも、マチエール(質感)を作るために塗られた
下地(ジェッソ)が思ったより薄めで、限られた時間内で
効果的な作業をしたのかが分かり驚きました。
当時はイラストレーター同士で「技」の教え合いみたいな事も
あったそうです。

会場でイベントの進行をされていた挿絵研究の大橋さんや、
イラストレーター加藤直之さんによると、金森さんの作風は
海外のイラストレーター「ジョン・バーキン←うろ覚え・・
違ってたら教えてください」に通じるものがあるそうで、
こちらも大変興味深いです。
(ジャンルは違うけどボブ・ピークや初期の毛利彰山口はるみ
宇野亜喜良のタッチにも通ずるものがあると感じます)

また、金森さんは近年ネットを通して一般から作品依頼も受けてるようで
会場には「コミカルなタッチのスタートレック」を依頼し、
見事な作品を描いてもらった方が原画を持って来られたりしていました。
(残念ながらそれらは作品集未収録)

今回驚いた事に原画は今後、希望者に販売する計画があるのだとか。
作品の現存を把握するため、購入後は連絡先を報告するよう
アナウンスされてましたが作品の将来を考えると原画散逸の
可能性が大きいかと・・差し出がましいけど、ちょっと心配っす。

金森さんは今回出版されたタッチの作品以外にもコミカルなタッチなど
色んな作風を使い分けてるそうで、長く「イラストレーター」として
活動する凄さの片鱗を見た気がします。
私が大尊敬する「60年代アメリカのイラストレーター年鑑」の作家達も
その後の経歴はほとんど不明ですが、案外こうしてファンと
交流してるのかなあ。

(関連サイト)
http://laputaeditor.seesaa.net/
(後日イベント模様がアップされるそう)

http://a-spa.hp.infoseek.co.jp/kanamori/