上田トシコ先生の思い出

マンガ家・上田トシコ先生の訃報がヤフーニュースにて流れていました。
公に公表されたと解釈して書いてみます。

自分は、94年頃マガジンハウスの「comic アレ!」に再録された
「お初ちゃん」で初めて上田先生の作品を知り、
新しい作家を出して行こうとする誌面に
なぜわざわざ数十年前の作品が再録されるのはなぜだろう?と
思いながら読み、シャレたペンタッチと作品世界にファンになりました。

2001年に開かれた弥生美術館での作品展では、
その作品タッチの素晴らしさはもちろん、
松本かつぢさんという先生に師事された事や、
単行本化されてない黎明期の少女雑誌に掲載された作品の存在、
80年代にはサンリオのギフトブックなどを発表された事等を知り
益々興味を持ちました。

アニメスタジオ「あにまる堂」さんが近年制作された
「フイチンさん」は、大変完成度も高く素晴らしい出来で、
上田先生も満足なさったのではないでしょうか。

彷書月刊」2004年2月号では上田先生の特集が組まれ、
先生のインタビュー、豪華執筆陣による記事が掲載されてました。
http://www3.tky.3web.ne.jp/~honnoumi/

弥生美術館の展示会の際には、サイン会が開かれ、
最初は若干震えていたペンタッチが
一人二人とこなす内に大変イキイキしたものに
なっていき、とても驚きました。

同時に開かれた上田先生と囲んだお茶会では、
参加者全員に気を配ってくださり、
私がイラストを描いている事を告げると
後日わざわざお手紙で、以前学研の単行本に描かれた
黄金比率」についての説明コピーと丁寧な自筆の
お手紙を下さりました。その内容は、私個人はもちろん、
次の世代の方への上田先生からのメッセージと解釈して、
一部原文のまま公表させていただきたいと思います。

「基礎をいいかげんにして才能だけでプロになっているプロが
まだほとんどの現代。世界的に通用し、現在欠点を改める心いきで
お若い方々は心ざし高い意欲でお仕事をして欲しいと思います。
マンガもイラストも、絵柄が勝負で、個性的であることと、
画面の安定感だそうです。

スケッチとして絵の線を生き生きとさせることも、
大切で、それは絵画も同じだそうです。
人生は長いのです。長く仕事が生きて行くことが、
体験者語るで、幸せな生き方と思います。お元気で。」

上田トシコ先生、ありがとうございました。
慎んでご冥福を祈ります。