井上雄彦 最後のマンガ展

上野の森美術館で今日からはじまった展示会に行って来ました。
平日の空いた時間にゆっくり見れれば・・と思ったのですが、
早く見たい気持ちと、部数限定の本が発売になると「モーニング」で
知り、いてもたっても・・てな感じで前売りの12時入場指定の券を
購入し、参戦したわけです。

ネットやコミュで反応を見る限り、書き込みの数も一定数を
超える者ではないと印象を受けたのですが、11時に会場に着くと
すごい人が!
当日券では、その時点で夕方18時のものしか販売しておらず、
前売りで正解でした。

ヒット作品は通常、マンガ家個人の手を離れた、たくさんの
スタッフや企業の展開に任されていってしまうものですが、
井上先生は、あくまで「個人の手から産み出される作品」という
形状を大事にしながらも、結果的に大きなプロジェクトとして
上手に進行されている姿に驚きを感じました。

今回の展示会が、これまでのマンガ作品の展示会と一線を
泊してるのは、すべての作品が新作書き下ろしで、
大判の水墨画、通常の原稿サイズの作品・・といった
様々な画材で描かれた作品がひとつのストーリーに
なっているという点でしょう。
空間の異なる部屋ごとに、サイズの異なる様々な
作品は、通常のマンガの紙面を超えた印象で迫ってきて、
時に繊細に、時に圧倒的な迫力で迫ってくるようでした。

これまで描かれたカラーイラストや原画が
一切展示しないというのはちょっと残念ではありましたが。

(以下バレ注意)

「モーニング」で連載中のマンガ本編は、
これから最終章に突入しようとしており、
この展示会で公開された作品は、今後描かれる大団円に
向けての試行錯誤であり、観客から還ってくる反応を
さらに作品のエネルギーにしようとする
試みだと思われます。

主役の武蔵の未来を描いた今回の展示では、
作品の最終的な方向性が提示され、ある意味完結を
告げられてしまったようにも感じました。
7月から再開される連載では、又八、一刀斎など
個性豊かな傍役のその後もさらに掘り下げて、
さらに細やかな描写による大団円を期待したいです。